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大 山 訪 問

その1

2007年・夏



大山は鶴岡の隣町で、古くから酒造で有名な町である。

往時は42もの酒造があった大山。
しかし今も酒を造り続けているのは、4つの蔵のみである。

8月の鶴岡滞在で利用した宿の管理人さんご夫妻が、大山の方だったため、
ご好意に甘えて滞在最後の8月17日に、4軒の酒造のうち3軒と、
蓮が一杯の池などを案内して頂いた。

蔵見学といっても、夏の酒蔵は休眠状態。
秋に再び鶴岡に来る時、是非また見学させて下さいとお願いしてきた。
その時には、蔵全体が奮闘する姿も見られるかもしれないと、期待している。

だからこのページは「その1」。秋に「その2」を追加できることを願いつつ。








JR羽越線・大山駅 (2005年秋撮影)。



最初の訪問先は
大山で唯一、一般公開している
「出羽の雪」の渡會本店さん。

創業は元和年間
(1615−1623)とのこと。

入場料が100円
(100円というのが可愛い)、
それで資料館の見学と、
利き酒が出来る。

今回渡會本店では
写真を撮り損なってしまったので、
ここに掲載しているのは
2005年秋の写真。

大きな杉玉と、
注連縄をはった
由緒ありげな門をくぐって、
資料館に入る。






  (下) 資料館に並ぶ
 昔の酒造りの道具たち。
 下は火入れに使うもの。







 (上) 同じく資料館に並ぶ、
 透き通ったきれいな青色の
 昔の酒瓶たち。きれいな色だなあ…
 どうして今は茶色が
 主流になったのだろう?



資料館は、すでに2005年秋と2006年夏に入ったことがあるが、
今回はその奥、実際に酒造りが行われる場に案内して頂いた。

渡會本店の社長さん、「夏なんて、何にもないんだよ」と
おっしゃりながら、蔵の中をざっと案内して下さった。

どうも有難うございました。また11月にお願いします。


見学の後は、利き酒。

上記の通り、筆者はこの蔵を訪問するのは今回で3回目だが、
最初の利き酒以来気に入っているのが、上品で、味わい深い辛口、

「壺中之天 純米大吟醸」






(写真は筆者の自宅にて。)


他にも色々と、美味しいお酒・個性的なお酒がある。
購入前に、利き酒で味を見られるのは有難い。

「貴醸酒」という、芳香豊かでブランディーのようなものもある。





次に訪問したのが、
以前から趣のある
立派な建物に惹かれていた、
冨士酒造さん。

1778年創業。

加藤清正ゆかりの
酒造である。


お米を蒸すところ。

随分とアンティークな
趣なので、思わず、
「今も使っているんですよね?」と
尋ねてしまった。
もちろん現役で活躍中。

長い年月使い込まれてきた
様子の作業場や道具たちは、
昔ながらの酒造りを
想像させてくれる。

今はひっそり静かだが、
今年のお米が
出来上がったら…



神棚の下、
蔵の立派な扉を開いて
中に入っていくのは、

神聖な神殿の中に
足を踏み入れるような
気分である。

実際、あちこちに
神棚がある。
お酒造りは神と共に
あるのだろう。

後姿の女性は、
筆者の友人で、
今回の旅の同行者。



酒を漉すところ。
写真左側、手前が普通酒用、
奥の方が、吟醸・大吟醸など、
香りの華やかなものに使われる。

案内してくれたのは
代表取締役の加藤有慶氏。

炭を入れて濾過する装置
についての説明の際、
山形の酒はあまり濾過せず、
素材そのものの味や香りを
残すように造るのだと
おっしゃっていた。



ラベル貼りは
糊を使った手作業。

瓶の中のお酒だけでなく
1本1本に貼られたラベルにも、
造り手の愛情が
こもっているんだなあ…








上は冨士酒造さんの庭園。あんまりきれいなのでびっくりした。
案内して下さった加藤氏によると、ツツジの時期など、
いっそう美しいそうだ。

こんな美しい庭を眺めながら、

花や紅葉の美しい時期はもちろん、
少し日がかげった夏の夕暮れ、虫の音が心地よい初秋の夜など、

気の合う仲間が集まって、盃を交わしつつ、
あれこれ語り合えたら楽しいだろうなあ…



こちらが冨士酒造おすすめの

大吟醸 「古酒屋のひとりよがり」

とりあえずお試しということで、
1合瓶を購入。

飲んでみて、思わず
「うわ〜、はなやか!」と声が出る。

澄んでいながら
豊かで華があり、しっかりとした旨さ。

とてもいいです!

(黄桃も山形生まれ。)



もう1つのおすすめは、どんな料理にも合うという「万流」だそうだ。

上の「ひとりよがり」や、「なまいき」など、
ネーミングも効いている。

色々と丁寧に案内してくださって、有難うございました!





さて、最後に訪問したのが
大山・加藤嘉八郎酒造さん。

すごいタンク…
転がっている酒瓶ケースがなかったら、
なにやら宇宙ステーションか
SFの世界のようだ。



熱心に、丁寧に、
説明して下さる工場長さん。
(聞き役は筆者の友人。)

このタンクの中には
(確か)3本のブレードがあり、
酒の状態に合わせて
回転速度なども変えられる。

工場長さんが触っているタンクは
この時、からっぽだったので、
中をのぞかせてくれ
(写真の左端、タンク下部の
丸窓からのぞきこむ)、
刃の向きなどについても
詳しく説明してくれた。



ご自身で工夫・考案されたものも多く、
高度に合理的な精神の持ち主のように見受けられた。

説明も、素人の筆者達を相手に、
「なぜ刃がこの向きについているのか」など、極めて合理的、且つ明快で、
なるほど、「理」を追求していくと、こういうことになるのだな、
…と、こちらも納得する。

単なる合理主義者ではなく、その根底には、
自分たちの作る酒に対する熱い思いがある。



こちらは欅を使った
なんとも立派な蔵で、
ここで会議なども行ったそうだ。

ストロボを持参しなかったので、
暗くて見えづらいかもしれないが、
がっしり骨太の
天井の梁を見て下さい!

こんな蔵に住みたいなぁ〜…
こんな木の中で眠るのは
気持ちがいいだろうなぁ…。

照明もよく雰囲気に合っている。




いや〜、宇宙基地からいきなりこんな重厚でシックな蔵に
やって来ると、木の温かみをしみじみ感じる。



左は、上の蔵で見せて頂いた、
しな織の酒袋。

袋にはその年の干支と、
量などが書かれていて、興味深い。

これらの袋に、遊び心一杯の文字を
残した人たちは、もういない。
しかし、大山での酒造りは、
先人達の知恵と、近代科学の知恵を交えながら、
連綿と受け継がれているのだなぁ…。




右が、筆者が今回購入した
大山酒造さんの一本、

「大山・特撰 純米吟醸」

…でも、御覧の通り、
まだ飲んでいないのです。

もともと筆者は
年に2〜3度しかアルコールを
口にしない人間だった。
しかも、飲むとしたら、
ワインか、ポート酒。

日本酒は、料理に使う、という
程度だった(…すみません)。

だが、黒川に通うようになり、
日本酒も美味しいものだと、
遅まきながら目覚めつつある。

黒川で、特に冬にお燗で頂く酒は
非常に旨い。
冷えた体にじっくり柔らかく
馴染む感じ。




上で紹介した2つは、それぞれ、それとはまったく違った旨さ。
そして、この大山酒造さんの「大山・特撰 純米吟醸」も
きっときっと旨いだろうと期待している。

ある酒屋さんのウェブページでは次のように紹介されている:

「美山錦とキヨニシキのバランスのよさはもちろんの事、
一般に言われる吟醸酒の堅さを適切な貯蔵管理により
出来るだけ和らげるように仕上がっております。
大吟醸に近い芳醇な味わいが楽しめます。」

…楽しみである。




酒造見学の後、宿の管理人さんにご案内いただいたのが、
蓮で一杯の大山公園の池!






「蓮がきれいに咲いていると思います」と、滞在前にご連絡頂いていたが、
まさかこんなに広いところに、こんなにぎっしり咲いているとは!







すでに散ってしまっているものも多いものの、
ここまで大規模だとは想像していなかったので、すっかり感動してしまった。
花いろいろ」のページにも蓮の写真を載せているが、
筆者の大好きな花の1つである。


今回こうして蔵を案内して頂けるよう手配して下さり、
蓮一杯の池も紹介して下さった管理人さんご夫妻に、心からの感謝を!

そして、それぞれの蔵を案内して下さった方々にも、
心からの感謝を!

また、11月に伺いたいと思います。どうぞ宜しくお願いします。





(2007年9月5日記す)

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