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水焔の能


(2009年7月25日 黒川能 下座)

その1




2008年の水焔の能は、
残念ながら見に行くことが出来なかった。
今回、2009年7月の水焔の能は、
筆者にとっては初めて経験する、下座単独の舞台。
とても楽しみだった。

演目は、能『大江山』、狂言『琵琶借』、
そして最後に半能の形で『野宮』。

雨に降られ、大変な1日だったが、
野外での薪能として見られて本当に良かった!
「屋内で」ということになると、
全然雰囲気が違うので…






少しでも良い場所をと、早い時間に会場に到着。
なんと、一番乗り!






舞台では、最初に舞囃子を行う予定の子どもたちが、
下座の上野繁美さんから最後の指導を受けていた。

上の写真でもお分かりの通り、
空には怪しげな雲。
開場を待っている間にも、
雨は降ったり止んだりの繰り返しだった。



明るいうちに、
まず神事から始まる。

裃姿は、上座の
地頭・釼持松雄さん。
春日神社の
責任役員でもある。



こちらは
火入れの儀式。

暗くなってくると
この火が
水面に揺らめき、
幻想的な雰囲気に。



一連の神事の後、
子どもたちによる舞囃子。

今回の舞囃子は『嵐山』。


先ほど舞台で
練習していた子どもたち、
本番の舞台の印象は
どうだっただろう?

それにしても、小学校から
こういう取り組みが
あるというのは羨ましい。



舞囃子の後、最初の能、『大江山』。

上座の曲『羅生門』は、このサイトでも何度かご紹介しているが、
今回の、下座による『大江山』と、
同じく下座の曲である『土蜘蛛』などは、
姉妹版(兄弟版?)といえるかもしれない。

つまりこれらの曲は全て、
源頼光一行による化物退治のお話である。






物語は、大江山の鬼を退治せよとの宣旨を受け、
山伏に変装して大江山にやってきた源頼光たちの登場で始まる。


ワキの源頼光は小林博氏、
ワキツレの平井保昌は秋山武氏、
同じくワキツレの独武者は平親善薫氏。


…曲の進行に合わせて、
周囲がだんだんと、
黄昏のやわらかな青色、
そして濃紺、漆黒へと変わっていく。

赤川が横を流れる河川敷、
囃子に負けじと蛙が心地よい鳴き声で歌い、
日が落ちてくると良い風が吹く。

大きな空の下、
人間の小ささを感じながら、
ひととき、能の中の人間模様を楽しむ。







大江山で酒呑童子の屋形を見つけた頼光たちは、
道に迷ったという口実で、屋形の中に潜入。
そこに現れたのが酒呑童子。

酒呑童子は頼光たちを旅の僧と信じ込み、
身の上を語る。

もとは比叡山に住んでいたのだが、
ある僧侶が寺を建てることになったため、
そこを追われ、諸国遍歴、
しかし都が恋しくなって畿内に戻り、
今は人目を偲んでひっそり暮らしているので、
自分のことは口外しないでほしい、と。





一行を酒と食事でもてなし、
すっかり打ち解け、良い気分。
童子は上機嫌で寝室に入り、眠り込む。


酒呑童子の役は蛸井栄一氏。






間狂言で大江山の鬼の恐ろしさが語られ…
(遠藤一朗氏と小林貢氏)






偽りの山伏姿から本来の姿に戻り、
酒呑童子の寝室に乱入した頼光たち。
そこには…






彼らをもてなした可愛い童子の姿はなく、
恐ろしい鬼人が!

鬼人役は斎藤平氏。

彼らの裏切りをののしる鬼人だが、
頼光たちは鬼人に切りかかる。

鬼人は頼光の腕を取り、組み敷いて食い殺そうとするが…





しかし頼光は、組みしかれた下から刀を突き刺し…






鬼人の首を取り、めでたし・めでたし…

(下の写真、頼光一同三名の揃い踏みは、正面から撮りたかったなぁ…)







めでたし・めでたし…なのだが、
信頼を裏切られた鬼人に同情してしまうのは
筆者だけだろうか?



次のページでは狂言『琵琶借』と、半能の『野宮』をご紹介。





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