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例 大 祭


2012年5月3日


その2



『嵐山』に続くのは、下座の狂言『蟹山伏』。







山伏は釼持忍氏、強力は小林貢氏。

修行を終え帰国する山伏の前に現われたのが…



(←)蟹の精。
   遠藤一朗氏。
(↑)それぞれ耳と鼻を
   はさまれてしまう。痛そう。




山伏は修行を終えたはずなのに、
身につけた行法は何の役にも立たなかったようだ。


狂言のあとは上座の能『八島』。








旅の僧は遠藤秀隆氏。
塩屋の主に一夜の宿を乞う。



 前シテの漁翁とそのツレ。渡部千春氏と渡部聖一氏。

 (→)八島の合戦の様子を詳しく語る老人は、
    実は漁翁の姿を借りた義経の幽霊。




 後半、義経の霊の登場。遠藤啓一氏。

(↑)後半の見せ場。
   自分の名誉のために、命を懸けて、
   海に落とした自分の弓を取り戻す場面。




こうして2012年の例大祭も終了。
皆さんお疲れ様でした!楽しませて頂きました!







白い桜と入れ替わりで若葉が繁り出す時期。
今年は桜も約一週間遅れとのこと。

新潟からの列車の窓には田植えをする人たちの姿が映っていたが、
黒川ではもう少し先になりそう。







出来ればまた田植えの時期に来たいと思っているが、
もしそれがかなわなければ、今度来る時は七月!夏だぁ…。


* * * * *


…ところは変わって、酒田。
祖母の墓参をしてから土門拳記念館へ。







こちらは八重桜が満開!




緑色を帯びた八重桜。 あでやかなピンクの八重桜。
きれいだなあ…
きれいな梅や桜を見ていると、
上村松園が描く、
凛としていながら可憐な日本女性の絵を思い出す。

古代ギリシア・レスボス島の女性の詩人サッフォーも、
その詩の中で女性の美を讃えたけれど、
松園もそのタイプの人だったのかな…
(「レズビアン」という語はサッフォーの生きた島・レスボス島に由来している。)

同性の目から見ても、本当に素敵だなと思う人って、いるものだ。

最近、以前の職場でご一緒していた女性の同僚と
再び接する機会があり、
以前もなんて素敵な人だろうと思っていたのだが、
その思いを強くした。

容姿の美しさだけでなく、正直で飾らないお人柄と品の良さ。
話していて楽しく、
一緒にいて居心地が良いだけでなく、
その表情やしぐさに、思わず絵筆を取りたくなる…
もとい、写真を撮りたくなる。







…話が逸れたが、
館内のメインの展示は筆者の大好きな室生寺シリーズ。

ここではからずも、
筆者が写真にはまるきっかけとなった写真に再会。
「あっ!」と思わず声を出して立ちすくむ。








どの写真かお察し頂けるだろうか。

一番手前のパネルの一番左、仏の「手」の写真である。

初めてこの写真を新聞で見たときの衝撃と感動が、
どっと蘇ってきた。

仏の手を切り取った写真。

それが素晴らしいとしたら、
この仏を彫った人が素晴らしいということなのかもしれない。

しかし、この手をこの角度から、この光の加減で
こうして切り取り、モノクロで表現し、
しかもまるでまったく血の通った、生きた手のように、
はかりしれないやさしさと慈愛を感じる手として表現し得たのは、
やっぱり写真家の力だと思う。

この仏像を正面から撮ったカラーの写真も展示されていたが、
正面から撮影された手には、
このやわらかな慈愛の感覚はさほど感じられない。

この写真を新聞で見たときに初めて、
写真も芸術の表現形式の一つなんだと納得した。

それまで写真なんて、一筆一筆作り上げていく絵画とは異なり、
ただシャッターを押せばそれで良いもの、
ただ記念写真を撮るようなものだと思ってきたのだが、
その日以来認識が一変した。


あれから随分写真を撮ってきたけれど、
改めてこの写真を見、
この写真を初めて見た時の自分の感覚を改めて思い出し、
果たして自分は初心を忘れずに写真を撮っているかと自問。

土門氏のように
人生のすべてを撮影に捧げられる時間も能力も設備も根気ない、
一介の写真愛好者に過ぎないけれど、
撮るからには、一枚一枚に、心を込めて、対象を見つめ、
その瞬間をつかむ、
そんな写真を撮っていきたいなぁ、体の続く限り…。








そんな気持ちで随分長いこと「手」を見続け、
ふと帰りのバスの時間を思い出し、外に出ると、パンダがいた。

ああ…土門氏の「手」に比べたら、
一体これはなんだやと言いたくなるような、緊張感のカケラもない写真。
ついさっき、撮影に対する姿勢を反省したばかりだというのに!?

…それにしてもこのパンダ氏、
子供の日に合わせた館内のイベントで、
仕事で仕方なく子供達にサービスしているのだと思っていたら、
どうやら決してそうではなかったようだ。なぜなら…







子供が誰一人いなくなった後も、
カメラを構えていた筆者のためにポーズを取ってくれていたのである。

…もっと近くに寄って、アップで写した方が良かったかな…



(↑)羽越線ローカル列車。 (↑)「きらきらうえつ」。



「きらきらうえつ」ファンの方がいらしたら申し訳ないが、
筆者の美意識は、この「きらきら」の車体に一種の拒否反応を感じていた。
それに比べて、左上のローカル列車の渋いこと。
列車はこうでなきゃ!と思っていたのだが、
酒田駅についてみると、「きらきらうえつ」以外の列車に乗るためには
1時間近く待たねばならないことが判明。

うーん…としばらく迷ったが、仕方なく「きらきら」に乗ることに。







乗ってみると、特急「いなほ」よりはるかにきれいで快適!

見かけだけで判断しちゃいけないな、と反省。
(でもきっともう乗ることはないだろう。)

色々と考えさせられることの多い五月の庄内滞在だった。





2012年05月06日作成

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