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王祇祭 と その前後

(2013)



その1



今年も行ってきました、王祇祭!

ニュースで頻繁に、
日本海側は大雪、吹雪と聞いていたので、
雪に埋もれた黒川を想像し、
それなりの覚悟をしていたのですが、
意外や意外、
道路のアスファルトがきちんと見える状態でした。







到着した日、早速太夫さん宅に伺い、
小さい子たちの練習を見学させて頂きました。

戸を開けて「お邪魔します」と中に入った瞬間、
わぁー、懐かしい!
昨年の夏、お世話になった日々がドッと蘇ってきました!



斗翔くんは、
相変わらず赤ちゃんでしたが、
着実に成長していて、
テーブルなどにつかまりながら、
伝い歩きをするとのこと。

太夫さんのお膝から、
小さなお兄さん達の練習を
一生懸命見ている様子も可愛らしい。

時々、見慣れぬ筆者の存在が
気になるようで、左の写真のように、
ジーッとこちらを見つめます。

見つめられると、ドキドキ。

筆者のドキドキなどお構いナシに、
ジーッと見つめる斗翔くん。




お茶の間は小さい人たちで一杯。







オモチャやテレビの周囲に集まって
(オモチャやテレビの周囲は=薪ストーブの近くでもあります!)、
自分の出番以外はすっかりくつろぎモード。

加速度的に進行するこの国の少子化。

小さい人の人口密度が異様に高いこの小さな空間に身を置くと、
そんな現状が嘘のよう。

(しかし黒川でも少子化が着実に進んでいるのが現実…)







龍星くん(写真左)が姥役を演じる
『絵馬』の練習が終わったあと、
前シテの尉役の大きなお兄さんがやって来たので、
二人で合わせることに。

龍星くんは、途中で太夫さんが謡をど忘れし、
「あれ、なんだっけ」と詰まると、
すかさず次のことばを言えるくらい
自分の担当箇所以外の謡まで覚えてしまっている様子。

たまげました!
いつのまにかすっかり成長しているのぉ、龍星くん!

…ところが大きなお兄さんの方は、
お仕事が忙しく、練習がままならないようで、
謡本を手放せない様子。

大きなお兄さん、頑張って!







こちらは『羅生門』に登場する予定の3名。

一番小さな子は、昨年の王祇祭で大地を踏んだ大輝くん。
扇が異様に大きく見えるくらい、小さくて可愛い子だけれど、
こうして一歩一歩、
役者さんとして大きくなっていくのですね。


途中で斗翔くんが「みゃあ〜」とぐずって泣くと、
すぐそばにいた龍星くんは、すかさず筆者の方を振り向き、
「あやして下さい!」

パーフェクトな東京弁(?)で依頼されてしまいましたが、
カメラを片手にドキドキしている筆者が何の役にも立たないと瞬時に悟ったらしく、
龍星くんは、自分で腕を伸ばし、
斗翔くんにオモチャを手渡し、あやし始めました。

う〜む… 龍星くん、
あなたは将来きっと良いお父さんになりますよ!


* * *


翌日は、遠藤重左衛門家にて、
餅つき・餅押し・御幣作りなどを見学させて頂きました。

重左衛門家は代々春日神社の神職を勤める御宅。

朝早くから餅米を蒸し、
お祭りで使う大きな掛餅を作る作業を行いました。



餅を搗くのは男衆の仕事。
新しい3本の杵は、上座の秋山嵩義さんの作とのこと。

餅米が蒸しあがるのを待っています。勢いよく燃える炎、
立ちのぼる蒸気。ドキドキしてきます(→)。




蒸しあがると、ボワーッと蒸気の上がる餅米を手早く臼に移し、
餅つきが始まります。

重左衛門さん宅では上座の掛餅を作ります。



  3本の杵が臼を目掛けて突き合います。
  男の戦い!という印象。

(←)左の写真は、左から松右衛門さん、
   重左衛門家の重和さん、下座の折盛頭の秋山武さん。



 搗き終ると家の中に運び、大きくまぁるく形を整えます。

 整えるのは秋山武さんのお仕事のようです。







今度は場所を変え、秋山武さんの御宅で、
下座の掛餅作り。




 同じ要領で、3人で搗いていきます。
 秋山武さんのお父上も加勢。

(→)下座の折盛頭父子さんです。


 搗き終わると、同じ要領で家の中に運び…



先に作られた上座の餅と同じ大きさになるよう、
形を整えていきます。







上・下の掛餅が出来上がると、再び重左衛門家に戻り…



(←)今度は神前に供える御餅の準備。
   重左衛門家の皆さんと松右衛門さんで丸餅に(↑)。

 筆者も少し手伝わせて頂きました。
 きれいに丸くするのはなかなか難しいです。



お祭りで、神社舞台上の梁に取り付けられている掛餅。
いつも「大きいな〜」と思って見ているだけでしたが、
実際に作られているところを見ると、
ただの巨大な丸餅ではないのだと感じます。

お疲れ様でした。

しかし、この日の仕事はまだ続きます。
餅つき・餅押しの後、重和さんはお勤め先へ。

お父上の重嗣さんは…








神さまをお呼びするための御幣づくりを始められました。







さくさくと紙にナイフを入れ、折り目を作り…

一つ一つの形や折り目にも、込められた意味があるのでしょう。







重嗣さんが作られたミステリアスな御幣たちを合わせ、
雪の中、神さまをお呼びします。







そうして無事に神さまに降りてきて頂いたあと、
精進料理の宴。

御幣をおつくりになっている重嗣さん、
雪の中で神さまをお呼びする重嗣さんを見ながら、
筆者はやはりドキドキ。
なんともいえない気持ちでした。

貴重な貴重な経験をさせて頂きました。

ずーっと気になっていた「王祇様」のことも、少し伺いました。

昨年12月にも、
少しまとめて重嗣さんに質問させてもらったのですが、
伺えば伺うほど、筆者の知的好奇心はグングン成長し、
とどまるところを知りません。

こうしてこのページを書いている今も、
あれはこういう意味なんだろうか、これはああいう意味なんだろうかと。

…とにかく、王祇祭という祭りがこうして今も続いていて、
祭りに現われるさまざまなシンボルを
理解している人が存在するという事実に、感謝です。

これからも、色々学ばせて頂くのを楽しみにしております!



次のページでも、王祇祭前の様子をご紹介します。



作成日:2013年2月10日

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