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王祇祭 と その前後

(2011)



その2

(1月24日〜27日)



雪は依然としてふり続け、
中には下の写真のように、
雪に埋め尽くされてしまいそうな御宅も…








氷柱が氷の牙みたい。
この状態で、問題なく家に出入りできるのだろうか…。

サラサラの雪なのに、意外と粘り強いらしく、
下の写真のように、トタン屋根からすべり落ちながらも
「落ちまい」と必死に食い下がっているものもある。








スゴイ…。その根性、認めます!


さて、今回の滞在の目的の一つは、
大地子の一人、釼持颯琉くんの追っかけ取材。

過去数年にわたって
この王祇祭の大地踏を見届けることは、
筆者にとって人生の目的というか、使命のようなものだった。

…などという心情は、
もちろん筆者の勝手な思い込みで、
大地子ちゃんから見ればアリガタ迷惑な話だろうが、
でもとにかく、
赤子の頃から見てきた子なので、
是非是非、
良い大地をしてもらいたい気持ちで一杯だった。



 教えてくれる先生は、
 橋本地区の師匠さんである釼持孝文氏。
 ある時はお父さんに付き添われ、
 またある時はおばあちゃんに付き添われ、
 毎日朝9時から練習。



 颯琉くんはキラキラお目々の、
 笑顔がとてもスウィートな子なのだが、
 とんでもない乱暴者でもある。
 孝文さんに飛び掛ったり噛み付いたりしていないかと
 ひそかに心配していたが、どうやらそれはないみたい。



右上の写真は、お父さんの亘さんと一緒に。
亘さんは今回、提灯持の役をつとめる。

下の写真は、おばあちゃんと、
それから孝文さん、孝文さんの母上、奥さんと一緒に。

練習後、オイタをしておばあちゃんから叱られている。







颯琉くんのおばあちゃん・悦子さんは、
当屋当人の妹さんであり、
今回の当屋では、ご本人の望む・望まないに関わらず、
当屋の台所の主に。







颯琉くんの妹を背負いつつ、台所仕事。

23日の「できあがり」のあとは、
ご親族の他の女性方は仕事で都合がつかないらしく、
悦子さんがお一人で切り盛りされていた。

筆者は黒川流の料理はまったく出来ないので、
せめて洗い物をと思い、ひたすら食器洗いと片付け。

事前に当屋さんの事情はいろいろ聞いていたので、
ある程度覚悟はしていたし、
お手伝いをしながら見えてくること・学べることもあると思っていた。

…それにしても、この少なさ(たったの一人!)は
想定していなかったので、
ただただ茫然自失。

夜は自分の仕事をしなければならない予定だったが、
疲れ果てて予定をこなせないままバタッと布団に倒れこむ日も。


…そんなある晩、どこからか、笛と鼓の音…

音の聞こえる方に引きずられて行くと…







当人のお孫さんある一行さんが練習中。

おおー、これはここにいなければ見られなかった光景!

見学させてもらったけれど…
邪魔してしまったようで申し訳ない。

一行さんは、当屋で脇能『絵馬』の後シテ、
天照大神になる予定。

良い舞台になりますように!


…雪は降り続けるが、
時折雲が切れて青空を拝むことが出来る。

そんなときの黒川は、本当に美しい。







当屋さんの自宅の様子。
祭り当日には脇当屋になる予定。







毎日のように雪かき。

この景色を「美しい」などといったら怒られそうだけど、
でも、気に入っている一枚。椿出にて。







こちらもすごい雪なんだけど…気に入っている一枚。
滝の上の方向から橋本を望む。







「なんと清々しい!」と、自画自賛している一枚。


そんな束の間の晴れ間に気を晴らしながら、
食器を洗う日々。

下座の方からお電話を頂いた。

「毎日どうしてんの?」

「食器洗ってます」

「…それ、なんかの役に立つの?」

………うぇ〜ん、分かりません!(涙)

だけどこの状態の台所を、
放っておくわけにも行かないじゃないですか〜…



 そうこうするうちに
 調理された豆腐ができあがり、試食。
 




改めて上座の世帯持ちさんをご紹介。
左上の写真の、写真左端が嵩義さん、
中央が大鼓方でもある幸男さん。

お二人とは、今回初めてお話したが、
さすがに世帯持ちという大役を任されるだけあって、
しっかりと落ち着いていらっしゃる。

かがんで豆腐を取っているのが当人の松雄さん。



嵩義さんの作業場を煎じ場として、
これはコゴミを揉んでいるところ。




右上の写真の中央と右端の女性が(お顔が見えないけれど)、
女性の世帯持ち役であるいねさんと芳美さん。

祭りの後の「できあがり」では、
お二人の素敵な着物姿を撮らせて頂いた。







祭り当日は公民館を使うので、除雪も必要。
世帯持ちさんは、とにかくやることがたくさんで大変。



 (←)こちらは筆耕者の三浦さん。
  祭り当日舞台を取り巻く張り紙を
  作成中。




さすがに美しい文字!
夏は羽黒山でやはり筆をとっているとのこと。
あとからあとから奉納が来るたびに
名前を追加せねばならず、
それは祭り当日まで続いた。
そのたびに当屋にいらして筆を取る律儀さ。







この日も快晴!公民館の準備も着々と。







晩には、嵩義さんの作った To Do リストが登場!

やらねばならないことの多さに、
当屋さんからリスト作成の依頼があったのだ。

リストは28日からはじまる。
29日からは行事も多く、忙しくなる。






リストにあげられた行事や必要な人の説明をする嵩義さん。

どちらかというと無表情、
そのせいか、時折見せてくれる笑顔が妙に可愛らしい。
ちょっとしたことでは動じなさそうな、
頼りがいのある魅力的なお父さんである。

最初に笛役者の篤司さんのお父さんと伺った時は、
外見がまったく似ていないので驚いたが、
まさにこの親にしてこの子あり。
お二人とも、しっかりと芯が一本通っていて、
ぶれることのなさそうなお人柄。

今回、祭りの準備期間を通じて黒川に滞在できたので、
特に2名の男性の世帯持ちさんから
色々とお話を伺う機会があったことは、非常に有難かった。
この祭りの複雑さを、改めて実感した気分。







上の写真は、29日のさらいをのぞき、
今回唯一見学することの出来た練習風景。

春日神社のすぐ脇にある伝習館で練習する、橋本地区の皆さん。

当屋の手伝いに来る人も、こうしてお能の練習に来る人も、
若い世代は学校のあと、あるいは仕事のあとである。

充てられた役目によっては仕事を休まねばならないときもある。
勤務先の理解があれば良いが、
こんな不景気な世の中だと、
簡単には休めないことも増えてくるのでは…。

とにかくたくさんの人の手によって作られているお祭りである。





次のページでも、引き続き王祇祭前の様子、さらいの様子など、ご紹介します。



作成日:2011年2月21日

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