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王 祇 祭 (2009) より


その1

1月25日・豆腐焼きと大地合わせ





2009年の王祇祭は、
びっくりするほど穏やかな天候に恵まれた。
降り積もった雪の中で…という印象が強いせいか、
雪が少ない王祇祭というと、
有難いような、でもちょっと淋しいような、
複雑な気分になる。

今回は、王祇祭に先立って、
1月25日、念願の豆腐焼き&大地合わせなどを見学した。

まず、豆腐焼きの様子をどうぞ。





この場に一歩足を踏み入れた瞬間から、
目に強烈な刺激。
ボロボロと涙がこぼれてくる。
豆腐焼きの皆さんの完全防備姿にも納得できる。
しかし、手に持っている「棒」は、防備とは無関係に見える。
何のためか?

これは実に合理的な発想に基づく棒である。
豆腐は炎に当たる面から焼けていく。
つまり、各豆腐焼き当番は、
自分の目の前にある豆腐の、自分に見える面だけを見ていると、
豆腐が色づいてきているかどうか、
分からないのである。

そこで、お向かいに座る当番が、
この細い棒を使って、
「この豆腐は焼けてきている」と、知らせるのである。

上はまだ、焼き始めて間もない頃で、皆、静かである。
豆腐に良い色がついてくると、場内騒然となる。






程よく焦げ目がついて、
ひっくり返された豆腐も何本か見える。

棒が飛び交う。





…と同時に、皆口々に豆腐のやけ具合を知らせる。
生き生きと、にぎやかな声が聞こえてきそう。



こちらは
豆腐を切り分け、
串にさす係。

豆腐は
どっしりと固く
作られている。

王祇祭のための
特注品だそうだ。

昔は豆腐作りも
当屋でやって
いたらしい。
最近は業者に
頼んでいるそうだ。

王祇祭は別名
「豆腐祭り」とも
いわれる。


当屋さんの母屋に移ると、
そこでもバトルが繰り広げられていた。
写真左の赤い袖なしをお召しの御方は、
当屋の渡部さんの奥方である。

とにかく一瞬たりとも立ち止まることがないくらい、
忙しく立ち働いていらした。






下はお燗係(?)の御方。





面識のない御方だが、妙に愛らしい表情で、
筆者が今回の撮影で気に入った1枚である。
筆者が思うに、この御方は、
お燗係であることに幸せを感じているのではないだろうか。



  (左)
  ご飯係のお二人。

  巨大な釜で炊く
  ご飯は、
  ツヤツヤと
  見事な輝きを放ち、
  実に旨そうなこと!
  (右)
  ほっと一息。
  コーヒーを
  すすりつつ、
  憩いのひととき。



蔵では餅つき。立派な欅の臼に注目!





力自慢の男性陣の腕のみせどころである…が、
実際のところ、自ら率先してやりたがる人はいない。
杵の重さは半端ではないからねぇ…






『道成寺』の鐘は、
蔵の中で静かに待機中。



昼頃から、大地合わせが始まる。





今年の大地子は、釼持陸斗くんと釼持龍星くん。
上の写真が陸斗くん。
下の写真が龍星くん。





3人の小鼓の中央、背の高い御方が、
当屋頭人のご子息の渡部昇氏。
下の写真で白い椅子に腰掛けていらっしゃるのが
頭人の渡部佐久美氏。





たくさんの人たちが見守る中、
2人の可愛い少年たちは、
ほぼパーフェクトにこなした。

なんといっても、注目度一番の、祭りの目玉である。
王祇祭を見るために遠くからやって来る人たちは、
もちろん大地踏にも興味があるが、
それと同じくらい、或いはそれ以上に、「能」に惹かれていると思う。
だが、地元での一番人気は、やはりこの大地踏で、
祭の当日は、大地踏だけ見て帰ってしまう人も多い。

そんな、注目度の高いものであるだけに、
大地子の家族も、息子/孫が無事に大役を果たしてくれるか、
はらはらしつつ、見守っている。



次のページでは、王祇祭当日の様子をご紹介します。



作成日:2009年2月15日

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