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新 嘗 祭

2012年 11月23日 於 春日神社

(その2)

…新嘗祭の前後と12月の滞在(初めての番楽体験!)




新嘗祭の前に、2011年・12年の当屋でお世話になった
黒川の大工さん・秋山嵩義氏に再会。

嵩義さんは上記の年に、
2年連続で上座当屋の世帯持さんを担当された御方で、
上座の笛役者さんのお父上です。







当屋でお知り合いになったご縁を頼って、
以前から筆者が思い描いていた、
「理想の譜面台」の作成をお願いしてみたところ、
快諾して下さいました!

そして出来上がったのが、上の写真のような譜面台!

素晴らしいでしょう!?

…と、まるで自分が作ったかのように自慢したくなってしまう譜面台!

譜面を置く部分は取り外して書見台としても使えるよう、
嵩義さんのアイディアで工夫されています。

仕上げは「エゴマ」オイルでシンプルに。

シンプルながら、オイルが木材に浸透し、木目を際立たせ、
とても味のある仕上がりなのです!

筆者が思い描いていた理想を、現実に形にして下さった嵩義さん。
有難うございます!






譜面台の作者と共に、秋山工務店の作業場にて。

ちょっと暗いけれど、
個人的には作業場の雰囲気が出ていて、気に入っています!
色々な道具が置いてあって、ワクワクする空間です。

神棚もあります。
(嵩義さんの背後にある灯火にご注目!)。

自分の力ではどうにもならないことがある、
うまく行くよう見守って下さいとお願いするのだと、
おっしゃっていました。







この日、黒川から鶴岡駅に戻る際、
嵩義さんが筆者を運んで下さり、
その上、以前から撮りたいと思っていた
稲刈り後の水田にたむろす白鳥の撮影まで
付き合って下さいました。

大感謝です…!有難うございました!


* * *


新嘗祭の翌日は、
王祇会館で上座の折盛さんのお話を伺ったあと
(写真を撮らせて頂くのを失念・残念…)、
上座と下座の両方にまたがるような存在の村田さんをお訪ねし、
役者さんではない座員としてのお考えを、
色々と伺わせて頂きました。







お米作りも一生懸命取り組まれているようで、
上の写真は「金賞」の記念と共に!

お家まで押しかけていき、
その上随分長時間お話を聞かせて頂き、恐縮でした。
でも、とっても有難かったです!


…翌日は素晴らしいお天気に恵まれました!

「黒川」というバス停で降りて、
写真を撮りながらトコトコ歩いていると…
おおっ!昨日お会いしたお顔が!







黒豆の取り入れ作業でした!

村田さんはとってもフォトジェニック。
いつもとても素敵な笑顔を写真に収めさせてくれます。







この日は月山もクッキリ!
稲刈りの終わった水田にその姿を写しています。

こんな風景を見ていると、
あー、東京に戻りたくないなぁ…と思ってしまうのですが、
仕方なく帰京。

戻るとすぐに現実が襲い掛かってきます。

数日後、嵩義さんが送って下さった譜面台が、
はるばる黒川から東京の我が家に到着。



 美しい…!
 しかも機能的 & 実用的!
 モーツアルトのオペラアリア集も、
 きっと大喜びしています!





書見台としても活躍してくれるはず。
筆者の首の負担を和らげてくれることでしょう。
改めて、有難うございました!


* * *


さて、12月に入るとすぐに、再び黒川へ。
王祇会館にて開催されるイベントを見学させて頂きました。

まず、黒川の小学生による舞台。







上の写真の通り、
小学生の活動では、女の子もしっかり参加。
ご指導されているのは下座の上野繁美氏。
この日も教え子達の晴れ舞台を、
脇でそっと見守っていらっしゃいました。

子供達の舞台のあと、レクチャーがあり、
そのあと、筆者が随分前から見てみたいと思っていた、
杉沢比山の番楽の舞台が始まります。




上の写真から時計回りに、
『番楽』・『翁』・『三番叟』。

『番楽』の写真でもお分かりのように、
「翁」といえども、
老人くさい老人ではなく、かなり
激しい運動能力が要求されます。

音楽も、リズミカルで、
耳に残りやすいメロディー。
筆者が実際に見聞きした民俗芸能は
ほんのわずかだけれど、
そのわずかな経験だけでも、
日本のいたるところ、
祭りや芸能があるところには、
その土地その土地の音が
あるんだな…と感じました。

三番叟は子供三番叟。
筆者が好きな西伊豆の町・松崎の
秋祭の三番叟を思い出しました。
体をひねる動きが多いところも
似ているような…



続くのは『大江山』。







激しい身体運動の『翁』にも驚きましたが、
女性役もかなり激しい動きです。








扇を前後にしながらリズミカルな動きを繰り返します。

そうして鬼が登場し、
鬼退治の場面となります。








最後は『猩々』。







やはり身体を大きく使う動きです。







全身「赤」であるところはお能の『猩々』と共通のようですが、
脇に刀を差し、
後半ではその刀をチラリチラリと見せるところなど、
「酒の精」的なフワフワした感じはあまりしません。

番楽の猩々は、何かもっと違う意味合いがあるのかもしれません。







最後のはその刀を口にくわえ、舞台の上を逆立ちで数周。
すごい。逆立ちで歩くだけでも大変なのに、
刀を口にくわえて歩くなんて!
これは誰もができる役ではないですね!

お能と同じタイトルでも、
番楽バージョンは随分お能とは異なっていて、
とても興味深かったです!!

身体運動の激しさにもビックリ。
他の地域の番楽もこんなに大変なのでしょうか。
それとも杉沢比山が特別なのでしょうか。

いずれにせよ、大人はもちろん、子供さんの三番叟も、
手足まできちんと神経が行き届いていて、
清々しさを感じるくらいでした。
きっと皆さん熱心に練習されているんだろうなあ…!

幕の後ろで笛や太鼓を演奏している方々、謡っている方々も、
熱が入っていて良かったです。
やはり初めて聞くタイプのリズム・メロディーで、
とっても興味深く、楽しませてもらいました。

来年…じゃなくて今年は、
是非遊佐に行って、ご当地での舞台を拝見したいものです!







帰りの日は、再び素晴らしいお天気に恵まれました!
鳥海山がクッキリ!

筆者が出発する前日に雪が降ったようですが、
上の写真でも、その名残が見えます。








春日神社の神職さんである遠藤氏に、
今までため込んでいた質問のあれこれをお尋ねする機会を作って頂き、
そのあと、法光院の中に案内して頂きました。

もともと檀家のないお寺であるということですが、
以前は黒川の氏子が皆、信徒であったとのこと。

今は庄内の三十三番札所となっているために
他所からお参りに来る人がいるそうですが、
黒川の中ではなんだか行き場を失ってしまったような、
悲しげな印象でした。

筆者はここのところ、必要に迫られて、
日本の(主に)中世の神仏習合に関する本をあれこれ読んでいますが、
読めば読むほど、
その摩訶不思議な世界に一種感動の念すら覚えます…。

それはともかく、たった1泊の短い滞在でしたが、
王祇会館の皆さんや遠藤さんには大変お世話になりました!

(普段着姿の遠藤さんも素敵でした!撮らせて頂きたかったです…。)


* * *


このページを書いている今、1月も半ばに入ろうとしています。
黒川ではお祭りの準備が着々と進んでいることでしょう。

1月の終わり頃、そちらに伺う予定です。
今年はどんなドラマがあるでしょう。楽しみです。



作成日:2013年01月13-14日

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