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新 嘗 祭

2010年 11月23日 於 春日神社


(その1:11月21日・23日)



このページを書いている現在、2011年1月8日。
新嘗祭は去年の話になってしまいました…。

最近筆者は「金魚症候群」に悩まされているが(* 注)、
記憶をたぐりよせつつ、
2010年新嘗祭の様子をお伝えしたい。

* 注:「金魚症候群(goldfish syndrome)」とは、
   筆者の英国人の友人(分子生物学者で医師)が名づけた症状で、
   きわめて短時間しか記憶が持続しない状態を指す。
   彼によれば、金魚の記憶は2〜3秒しか持続しないらしい。


…さて、鶴岡に到着した筆者は、
田植えや稲刈りで大変お世話になった渡部家で、
いとしいせつさんと、旦那さまの権作さんに再会。

筆者が差し上げた、記念の田植えDVD・稲刈りDVDを、
本当に何度も何度も観てくれているようで、
そんなに喜んでもらえると、筆者もとても幸せ!

あれこれお話しているうちに、
ご子息の千春氏が帰宅。
上座で新嘗祭前のさらいを行う日であったため、
筆者も見学させて頂く。







さらいの前に、宝蔵庫で装束などの準備(↑)。

そして、7時過ぎから公民館でさらいが始まる(↓)。







演目は『白楽天』。
今回はナント!渡部家の親子3人がそろって
ワキとワキツレ!
写真右端から父親の千春氏、
中央が長男の勇太氏、笛役者さんのお隣が次男の元生氏。
ワキの千春氏は唐の詩人・白楽天で、
息子さん2人はその従者。

日本人の知恵を試せという命を受けて
日本にやってきたという設定。







前シテとシテツレは、釼持博行氏と遠藤洋一氏。
双方とも、漁夫の姿になる予定。








これは、間狂言が終わったところ、かな?
もうすぐ高校を卒業する元生氏の、可愛い笑顔。

今回の笛方さんは、神職もされている釼持浩氏。

ご自宅で練習されている音を何度か耳にしているが、
いつも「いい音だな〜」と、楽しませて頂いている。







上が、後シテの釼持孝文氏。

今回『白楽天』は約30年ぶりで起こしたそうで、
はりきっていらっしゃるご様子だった。

この翌日は、筆者の大好きだった
役者さんの御宅にお邪魔し、お墓参りも。
11月は特にせつない。
でも、幸せな思い出もたくさんある月である。



…さてさて、新嘗祭当日。






神社の中は冷えるので、自然と暖のある方に人が集まる。



一連の
神事が始まる。

写真左のお二人の
神職さんは、
上座の笛方さん。

一番左は
今回『白楽天』の
笛担当の釼持浩氏。

供物を
受け取った御方は
秋山篤司氏。




リレーのように、
供物を神様のもとに
お運びする。

上と右の写真に
見えているのは
キャベツ…?

他にも色々な農産物や
魚が登場する。




可愛い巫女さん達による倭舞。







そうして能が始まる。
まずは、上座の『白楽天』。

ワキの白楽天登場。







さらいを見せて頂いているので、「撮りたい!」シーンは
大体頭に入っているはずだが
(…ということは、さほど金魚でもないということ?)、
それを実際に、思ったように撮れるかどうかは
運・気力・体力・技能の問題。







親子三人の共演。いいですね!



前シテの漁翁、
釼持博行氏と、
ツレの漁夫、
遠藤洋一氏の登場。

当然だけど、
さらいのときとは
雰囲気が変わる。




この漁翁は、
白楽天の名も、
渡来の目的も把握し、
更に和歌にも長けた
スーパー漁翁。

実は住吉明神の
仮の姿で、
日本では命あるもの
すべてが和歌を詠むと
述べる。




「釣り」シーンは、撮りたい!シーンの一つだったのだが、
うまく行かなかったのが残念。








中入りに入り、間狂言。
アイの「末社の神」は五十嵐重一氏。



「山影の映るか水の青き海の波の鼓の海青楽…」と
登場する後シテの住吉明神。

舞を舞い、「速やかに立ち帰り給へ」と
白楽天に帰国を促す。




前半は、人だけでなく、生きとし生けるものは
心を持ち歌を詠むと、一種のアニミズムを唱え、
後半は「神風」吹いて唐船を漢土に戻すなど、
愛国主義的な調子も見える、興味深い曲。

数十年を経てなかなか演じられない曲を起こすというのは、
勇気と根気の必要な仕事だと思う。

若い役者さん達が黒川能を引き継いでいくためにも、
先輩の役者さん達が頑張って、
こうして発掘をしながら伝えていくのはとても大切なこと。

特に今回は、上座・下座共に
数十年ぶりに起こしたという演目が重なったので、
なんだか祭りの始まる前から意気込みを感じた。

これからも頑張ってください!


次のページでは、上座の狂言『柿山伏』と、
下座の能『張良』をご紹介。



作成日:2011年01月08-09日

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