Home    黒川能   松崎   その他いろいろ



松崎便り

- 5 -



2010年3月27-28日


「夢の蔵」落成式



2010年に入ってから
2回ほど蔵作り隊の作業があったが、
学年末試験、入学試験と、試験シーズンが重なり、
筆者は参加できなかった。

参加できずにいるうちに仕上がってしまい、
ついに落成式。
う〜ん…最後の作業は、参加したかったなぁ…
そして、ついに完成というその瞬間のみんなの顔を、
ビデオや写真におさめたかったなぁ〜…

…そういうわけで、3月28日の落成式に参加すべく、
27日から松崎入り。

27日の松崎は、春満開。




27日、伊那下神社の宮司さんとお会いして
お話を伺うことができた。

このページを作成している時点では、
まだ2009年の松崎の秋祭りページを作成していないが、
この秋祭りで見た神事が気になっていたので、
是非一度お話を伺いたいと思っていたのである。


 上と右の写真は、昨年の秋祭りにて撮影。
 「気になっていた神事」とは、山の神の神輿が浜に降り、
 宮司さんが海に向かって、巨大な「しゃもじ」状のもので
 海の神と対話しているかのような神事。
 右の写真では見えないが、宮司さんはこの時、
 白い翁の面を掛けている。
 大きな声も出すので、筆者はたまげた。




神輿が浜に行き、そこで神事を行うと聞いてはいたが、
こんな興味深い神事だったとは!
祝詞をあげるくらいのものと思っていた筆者は慌てふためき、
ニコちゃん(=筆者の愛用カメラ)の電源を入れて
どうにか右上の写真を撮った。

…で、今回、有難くも直接お話を伺う機会が持て、
その上、以前から筆者の中にある問い、
「日本の信仰心とは?」…についても色々お話でき、
有意義な時間を頂いた。







(↑) 神社からの帰り道に撮ったなまこ壁。
いつ見ても、いいものだ。
この単純明快なリズム感と力強さ。

「なまこ壁通り」と呼ばれる通り (↓)。







途中、森さん達が活動する、手作りの小物を作成・販売する
小さなお店に立ち寄る。
古布を使った可愛らしい小物がたくさん。
森さんも、小さなお地蔵さんを出品している。







…この日、松崎でいつもお世話になっている山本さんはお仕事。
神社でのミーティングには、森さんが付き合って下さった。

そして、山本さんのお仕事が済むまで、
森さんのお家であれこれ雑談しながらのんびり。



 (↑) 森さん宅でご馳走になった、
     磯菜の佃煮風のもの。
     磯菜という海草と、かき菜という
     野菜(ページ下参照)で作るそうだ。
     とても手間がかかるので、今では
     作る人がいなくなっているとのこと。
 (↑) 松崎の鰻屋さん「三好」にて。
     山本さんの仕事の後、三人で
     食べに行く。もともと漁師さんだった
     創業者のこだわりを、息子兄弟が
     受け継ぎ、兄は松崎にて、
     弟は東京・人形町にて、腕を振るう。



鰻はメチャ旨かったです。
ご馳走様でした。

そのあと、三人で夜桜見物。





すごいなぁ〜、雪みたい! (↑)
でも、夜に撮影する心準備は全くなかったので、
写真としては、まあ、こんな程度…。

それにしても、山本さん、お仕事の後でお疲れだったろうに、
松崎の旨いものと自然の美を紹介してくださり、
ほんと、感謝感激です…。有難う。


* * *


さて、翌日!
とうとう蔵の落成式。

その名も「夢の蔵」。







実際、夢のような蔵である。
今の時代、このような本格的な蔵を作ることはまずない。
職人さんによれば、1坪に300万円はかかるだろうと。
「夢の蔵」は、3坪。
最低でも、900万円かかる計算だ。
今回、この蔵のために県や町から出た資金は、合計で300万円。
なまこに使う瓦や扉などは、古い蔵のものを再利用。
素人はもちろん、プロ職人も、ボランティアである。

約2年にわたる作業で、参加したのは延べ600人。
事故も怪我もなかった。



   



朝8:30頃、筆者は森さんと共に、自転車で会場に。
10:00からの落成式の準備を始める。

右上の写真は、蔵の内部。
この蔵つくりの作業に1度でも参加したことのある人の名前は、
全て書かれているとのこと。

筆者の名前もあった。

なんだか嬉しい。







森さん(写真左)と、蔵の設計者である工藤さん(同右)。
工藤さんは、こんなに小さなものを設計したのは初めてだ、と。

「でもいい経験だった。以前作られた
蔵の設計図はないから、本当に、初めての試みだった。
太い柱を使っているし、100年以上持つものだよ」と。


…そうして、式が始まる。







山本さんが進行係。







蔵作り隊のリーダー、関さんがご挨拶。

数年前に心臓の手術をした関さんは、
現場に立たないよう、医師から指示されている。
ところが筆者は、何度も関さんが
高いところで、或いは低いところで、仕事をしているのを目撃している。
職人としての本能がうずいて、
現場にいながら
自分だけ黙って見ていることなど出来ないのだろう。

本当に、お疲れ様でした。


テープカット。

松崎町長(左端)、関さんらが並ぶ。







でも、この蔵は皆で作った蔵だから…







皆でテープカット!







老いも若きも、その中間も、皆一緒に!







テープカットのあとは、
関さんから松崎町長に、蔵の鍵を。

蔵は今後、バスの待合所などに使われる予定だ。







そして、最後に皆で記念写真。

お疲れ様!

完成してしまって、筆者は嬉しさ半分、寂しさ半分である。

昨年(2009年)は、この蔵つくりと、松崎の人と町に、
どれだけ救われたことだろう。

心から有難うと言いたい。







上は、森さん宅のご近所。
菜の花と大根の花が咲き乱れる。



かき菜という野菜。
こちらでは色々な料理に登場するようだ。

ページ上で登場した「磯菜」の煮物にも
使われている。

松崎の正月の雑煮は、
森さんによると、鳥で出汁をとり、
餅と、このかき菜を入れた
ものだという。

そんなシンプルなお雑煮って、
それはそれで美味しそうだなぁ…

筆者の家の雑煮は、
あれこれゴタゴタと入っているので。

雑煮も、土地ごとに色々な食材や
慣習があって、面白い。




式の後、棚田へ。

今年(2010年)、松崎で棚田サミットが開かれる。







全国各地の棚田関係者が集まる、大きなイベントになるとのこと。







山本さん曰く、「富士山の見える棚田は、松崎だけだと思う」。
(この日は残念ながら曇っていて見えなかった。)

ノビル(野蒜)というネギ状の植物がワンサカ生えていて、
森さんが懸命に採集し、筆者にプレゼントしてくれた。







上は、田圃を利用した花畑。
以前、松崎便りでご紹介したリアルな案山子がいた田圃。

道を挟んでお隣には川が流れていて、
川岸には、御覧の通り、桜。


(←) こちらは
   アップで撮った写真。
   黄色・オレンジ、
   それに水色の
   アクセント。
   もうすぐキンギョソウを
   小さくしたような花も
   出てくるようだ。
広角にすると (→)
まるで印象派か、
スーラの点描画みたい。
広大な敷地に
春を一杯詰め込みました!
…という感じ。








上は、花畑から道一本隔てた川沿いの桜。
満開に近い状態。
約6キロにわたって、川沿いに桜が植えられている。
ふんわりした桜色と菜の花の元気な黄色が、春らしい。



こうして今回も、最後の最後まで山本さん・森さんにお世話になった。
この場を借りて、改めて御礼申し上げます。

そして蔵つくりの仲間達。
一緒に漆喰&汗にまみれて作業したり、
地面にペタンと座ってお弁当を食べたりしたせいだろうか、
お互いのことをほとんど全く知らないのに、
まるで昔からの友人のような気分。

大好きな蔵となまこ壁を実際に作る作業をさせてもらった上に、
素敵な人たちとの出会いも頂き、感謝…!



さて、東京に戻った筆者は、
森さんが懸命に掻き出してくれた
野蒜を、さっそくお掃除し、
塩・昆布で味付け。

(←) こんなふうに仕上がりました。




蔵は完成したけれど、漆喰鏝絵修行もしたいし、
棚田サミットもあるし、
秋祭りは、今度は山の神をお呼びする早朝の神事から
一つ一つじっくり見たいし…

何のイベントがなくても、
明るい伊豆の自然の中で、
なまこ壁を見ながら散策したり、
森さんや山本さん、蔵作り隊のメンバーと話したり、
温泉につかっているだけでも幸せ。

これからも松崎に足を運び、
皆さんにお会いするのを楽しみにしています!





2010年04月08日作成

Home    黒川能    松崎    その他いろいろ