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祈 年 祭

(2013年)


その2



3月23日の朝、祈年祭が始まります。







今年も上座の笛役者さんである秋山篤司氏が、
牛となって田を整えます。

一連の神事のあと、今年は下座の能からスタート。
いわゆる「勝修羅」の一つ、『箙』です。







直面の前シテは蛸井栄一氏。

青と黄のコントラストが鮮やかです。



今回の間狂言で登場された大滝高男氏は、
筆者は恐らく初めてお顔を拝見した役者さんです。

ワキの僧は、三番太夫さんである清和政俊氏。




そうして後半、梅を背負った梶原景季の霊の登場。



景季の霊を演じるのは斎藤平氏。

使用している面「平太」?は大変男前ですが、
顔全体が黄土色のような金色?で、人間離れしています。




合戦の様子を再現し、供養を願って消えていきます。
修羅物は、「勝修羅」などといっても
やはり修羅道に落ちた苦しみのうちにある者のストーリー。
むなしさ・はかなさが漂います。







『箙』の後は、下座の狂言『茶壷』。

詐欺師(写真右奥、平新通明氏)に真似されるとも知らずに
一生懸命舞い語る田舎者(小林貢氏)。

結局茶葉は目代(遠藤一朗氏)に奪われてしまいます。


狂言の後、上座の『吉野天人』。

ワキの登場の後、
前シテの里の女が登場(→)。
斎藤啓佐氏。

(王祇祭のプログラムには「敬佐」、
 今回のプログラムには「啓佐」と
 書かれており、
 どれが正しいのか分かりません。)

うーむ…
やはり「可憐」というには
少々大きすぎる感じもしますが…。

花を友として暮らしている
女性役(実は天人)。






前シテが去った後、お猿さんたちの登場。

姫猿がゴロンゴロンと転がります。







子供の姫猿の愛らしさは言うまでもないことですが、
大の大人が桜の枝を持って
可愛らしく飛んだり跳ねたり転げたりするのも
なかなか味のあるものです!

五十嵐重一さん、お疲れ様でした!







猿婿(扇を広げている御方)が難波義幸氏、
桜の陰になっていますが、舅猿が五十嵐信市氏、
太郎冠者猿が佐藤俊広氏。







後半は天女の舞。
上は後シテの渡部純也氏。美しい面を掛けて。







緑色のツレの方は釼持一行氏。

舞い終えると、祈年祭も終わります。

お疲れ様でした!

お祭りのあと、釼持一行氏に少々謡の録音などをさせて頂き、
公民館に行くと…





肉を食らう人々がモウモウたる煙の中にいたのでした。





林立するビールと日本酒の瓶…。うーん、「酒池肉林」の図。

「謡の訛り」も話題に上りましたが、
筆者は、個人的には、黒川の謡は訛っている方が好きです!
だって、黒川の謡なのですから!
自信と誇りを持って訛って頂きたいと、個人的には思っています。

筆者自身、6年ほど前に教わった『老松』を謡う時は、
ちゃんと(?)お手本を真似して、
「♪まつーかじぇも んーめーもー」と、謡います!

こうして平仮名で書くと、何を言っているのか分からないですね…


 シリアスな問題を語り合う人々(↑)と…  片付けながら歌う人々(↑)。

直会にお邪魔させてもらったのは久しぶりだったような気がします。
ゆっくりいろいろお話できて嬉しかったです!







公民館だけでは満足出来ない数名の方々は、
筆者が今回お世話になったお宿へ。

なにやら大笑いして、楽しそう。







上はお宿の女将さんである美恵さん。
滞在中は大変お世話になりました!







翌日は太夫さんご夫妻も。

前のページにも書いた通り、今回は美恵さんや、
そのご主人で太鼓役者さんである篤さんと、
夜を徹して?あれこれ語り合えて、
楽しかったし、嬉しかったし、勉強にもなりました。

篤さんは黒川病です。
アルコールが入り、黒川能の話になると、とまらない。
それに、とても幸せそうに、嬉しそうにお話になるので、
一緒に話しているこちらまで幸せな気分になります。

話題にのぼったことは、
もちろん楽しいことばかりではなく、
黒川が抱えるさまざまな問題についても
話し合ったのですが、
美恵さんも篤さんも、
筆者が共感できるご意見をお持ちで、
だからこそ
話していて幸せな気持ちになれたのかもしれません。

今まで、練習などで拝見してきた篤さんは、
いつも気難しそうなお顔をされていたので、
ただでさえ人見知りの筆者は
とても話しかける勇気など持てずにいたのですが、
それがこんなに楽しく話せるなんて!嬉しい大発見でした。

ほんのちょっぴりですが、
一緒に『老松』を謡ったりもしました。

太鼓の話をあれこれ聞くと、
それも教えてもらいたくなってきてしまう…






まだまだ雪が残っていたものの、
着実に春も近づいてきているような3月終わりの黒川でした。



東京に戻る前に、3年後に当屋さんとなる
渡部家の権作さんに、
薪割り作業を見学させてもらいました。

斧で柿の木を割っていきます。




あと数年で80歳になるという権作さんですが、
こうしてご自身の当屋で使う薪をご自身で準備できるなんて、
幸せなことですね!







このあと三人でバンケ積み。
お二人にまで手伝って頂きもっけでしたが、
おかげさまでたくさん摘めました。



摘まれた子たちは、ごくわずかを
天婦羅にした以外は、
すべてバンケ味噌となって、
現在も筆者の家の冷蔵庫に棲息中。

東京に戻った翌日は、
バンケの洗浄と調理で
一日が終わってしまいました!




でも、おかげでほぼ毎食、美味しい春の味を楽しんでいます。

なんとなく、パスタにも合いそうな予感が…
上質のオリーブオイルにおろしたてのパルメザンチーズと一緒に和えて…
近いうちに試してみよう!







黒川滞在中に満開となった東京の桜。
このページを作っている現在は、そろそろ終わりつつあります。

滞在中お世話になった皆さんに、心からの感謝を。

もうすぐ再び忙しくなってくると思いますが、
そのまえに、
ゆっくりと春の訪れを楽しまれますように。





2013年3月30日記す

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