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和 梨 の 収 穫





2012年9月、急遽黒川を再訪。

長年の夢がかない、黒川は小在家にて、
和梨(幸水)の収穫作業を撮影してきました!







櫛引は「フルーツの里」と謳っていて、
お米のほかに、果物の生産は重要な位置を占めているようです。

3年前には(あれからもう3年!)上座の釼持家で
庄内柿の収穫を撮影させて頂きました。

今回は下座の秋山家にお世話になりました。

上の写真はご主人の秋山久喜さん。黒川能の役者さんです。



左は久喜さんの奥さまで、
王祇会館にお勤めのかおるさん。

お会いするときは、大体いつも
王祇会館だったので、
Tシャツ姿での梨の収穫や、
お家でお料理をするかおるさんは、
なんだかとても新鮮な印象でした!

筆者が思い描く
典型的な東北美人で、美肌の持ち主。
非常にお若く見えるので
信じられないけど、
なんと!お孫さんがいるのです…。

膝に抱っこしているのが、
お孫さんのくーちゃん。
(下で再び登場します。)
かおるさんは、
切り絵作家さんでもあります。

右は、『高砂』の一場面。
ご主人がモデルだそうです。
実際の作品はもっと素敵です。

ご自宅の玄関に飾ってあった
『大瓶猩々』の切り絵は、
白黒ベースで版画のよう。
ガラスが光に反射して
うまく撮影できず、残念でした。

筆者はずっと、
芸術的なセンスのある人は
ほぼ確実に、
事務的な仕事には向いていないと
思ってきましたが、
かおるさんはその2つを
持ち合わせているようです。








男のティータイム。
久喜さんと、息子さん(くーちゃんのお父さん)です。



蔵には和製アンティークが…
上は秤。単位が「匁」です。
上は、久喜さん曰く、
「草を刈るもの」。

秤も「草を刈るもの」も、
どうやって使うのか見当もつきません。

蔵がそのまま民俗資料館になりそうです。

アンティークと共に最新の機械もたくさんあったので、
過去の遺物の展示というだけでなく、
過去から現在に至る、通時的な民俗資料館!

写真を撮りそびれましたが、
王祇祭の豆腐を煮る大鍋もゴロンと転がっていました。
大鍋は、年季の入ったものですが、
観賞用アンティークではなく、バリバリの現役です!







こちらが秋山家の梨園。
全体が巨大ネットで覆われています。

木は、実を収穫しやすい高さになっているけれど、
冬に積もる雪のせいで、年々背が低くなっているとのこと。




(↑)梨もぎ用の鋏。柿用とは
   刃の先端の形が異なります。
(↑)ハクビシンにかじられた梨。
   ハクビシンは天敵です。






収穫作業に励んでいると、
保育園から子供達がお散歩でやってきました。

小さい人たちも、
美味しいものをもらえるとちゃんと分かっているみたい(笑)。

久喜さんからもらった梨を手に、
ヨチヨチと可愛い足取りで帰っていく子供達。




収穫隊メンバーのかおるさん(↑)と、
久喜さんの叔母様に当たる、春子さん(→)。

なんと春子さんは80歳を越えているとのことですが、
体力・気力共に素晴らしい!

それにユーモアのセンスも!

梨は、市場に出回る基準を満たしているものと
そうでないものに選別されていくのですが、
ほんの1〜2ミリくらいでも、黒い斑点があると規格外。

異様なほどの厳しさ。
人間世界も競争が厳しいけれど、梨世界はもっと厳しいかも。

で、その規格外になってしまった子たちを、春さんは、
「黒ちゃん」、「黒助」と、さまざまな愛称で呼ぶのです。








作業の合間の一服風景。
9月も半ばに入ろうという頃でしたが、とにかく暑かった!







午前中の作業が一区切りつくと、
収穫された梨たちをご自宅に運びます。

梨がたくさん入ったコンテナはかなりの重さで、
トラックから蔵に移動させる久喜さんのお腰には
大変な負担になりそうです…。







そして、一つ一つ、
丁寧に、しかし迅速に、箱詰め。

昼食を取り、箱に詰めた梨を農協へ。

農業に加えて、スクールバスの運転手さんの仕事もこなす久喜さん。

この日は運動会だったということで、
梨の収穫の合間を縫って、子供達を安全運転で送迎していたようです。

なんとまめなこと!






午後、久喜さんが運転手さんになっている間は、
かおるさんと春子さんが奮闘します。

筆者も、猫の手くらいにはなったかな…。

今回、梨の収穫を体験させて頂いてせつなかったのは
「黒ちゃん」の存在。

まるまる大きく、ずっしり重く育って、
「おお〜、立派に育ったの〜!」と、
思わず声をあげてしまうような子を枝から取り、
頭やお尻に、ほんの一箇所でも、ほんの1〜2ミリでも、
「黒ちゃん」がいると、
ただそれだけで、その子は「規格外」に。

ほんの少し形がいびつだったり、小さすぎると判断されると、
それも「規格外」。

き、厳しすぎませんか?

筆者は、常々思うのですが、
日本人は外見にこだわりすぎだと思います!

人間を判断するときも、果物を判断するときも、何もかも外見重視!

大切なのは中身でしょ〜〜?

まぁ、人間の場合、
中身の良し悪しが外見に反映されることも多々あるので、
外見も判断基準の一つにはなるかもしれないけど、
でも、果物の場合、どうでしょう???



午後の途中から久喜さんも
再び加わり、
この日で幸水梨の収穫は
無事、終了!

お疲れ様でした〜〜!

そろそろ空も
茜色に染まりつつあります。




…この風景(↑)、見覚えがあるでしょうか。

8月の滞在の最後に、筆者はここで、「風祭」の御幣の写真を撮りました。

その時は、ネットで覆われた木々が、
久喜さん&かおるさんの梨園だとは露知らず。

御幣はこの日も風に泳いでいました。

稲もすっかり黄金色。
刈り取られるのを待っているようです。








「できあがり」だということで、
筆者もお夕飯をご馳走になりました(もっけです)。

上の写真は、久喜さんとお孫さんのくーちゃん。

くーちゃんはまだ2歳ですが、
既に黒川男児の片鱗を見せつつあり、
「酒のつまみ」系の食べ物が大好きとのこと。
ビールさえ飲もうとします。

典型的な「男児」で、メカ好き。
筆者の巨大なニコ4世やビデオカメラに興味津々。

最初は人見知りな様子だったけれど
(筆者も人見知りなので、最初はお互いに様子を見合いつつ…)、
筆者がカメラやビデオを構えると、
そばに来てピタッと筆者の腕にくっつくのです。

可愛い〜〜!






   



庄内の美味しいものを、さまざまご馳走になりました!
クチボソカレイの一夜干しは絶品!

久喜さんのお母様がお漬けになったちびっ子茄子も!

美味しい濁り酒も開けて下さり、
普段飲酒はしない筆者ですが、
この時はかなり幸せな気分で頂きました!







一見、下座の太夫さんに似ていらっしゃる初雄さんと共に。
稲刈りのご相談。

お二人で月山に筍取りに行かれたとき、
とんでもない発見をしてしまい、
発見物(者)を救助をすべく、大変な苦労をされたとのこと。
笑ってしまいましたが、
でも、あとから考えると、いやはや、
こちらの想像をはるかに上回るご苦労だったのでは、と思いました。

あっという間の楽しい数時間でした。







なかなか暑さが去ってくれない2012年。
そのせいか、稲刈りも通常より早まる予定とのこと。

恐らく、このページを作っている今頃は、
黒川のあちこちで稲刈り機が活躍していることでしょう。

久喜さんは、「14日に始めたいと思っていたけれど、仏滅だから」
…と話していました。

大切なことをする時は、日を選ぶのですね。

8月の荘内神社で、
地謡をされていたときの落ち着いた横顔とはまた別の、
キラキラした目が可愛いらしい久喜さん。

あまりゆっくりお話は出来なかったけれど、
農業にかける思いには、熱いものがあるようでした。

息子さんも、それを受け継ぐ心の準備は出来ている様子。

頑張って、黒川の能と農の伝統を、
親から子へと受け継いでいってもらいたいです。



…東京に戻った翌日、
久喜さん&かおるさんから
立派な幸水梨をたくさん頂きました。

久喜さんが、忙しい中、
箱に詰めてくれた梨たち。

ただ有難いだけでなく、
一層身近に、作ってくれた人のお顔が
目に浮かびます。



お忙しい時期にお邪魔して、色々とお世話になり、
本当に有難うございました!

その上立派な子供たちまで送って頂いて…もっけです。


心から、感謝です。

この暑さの中では、稲刈りも大変だと思いますが、
どうかお体に気をつけて、頑張って下さい!






作成日: 2012年09月16・17日

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